「風のごとし」


最近、寝る前に、谷川俊太郎の「谷川俊太郎の あれやこれや」(筑摩書房)という本を一節読んでから布団に入っています。その文中に、中勘助(1885-1965)「愛の人・中さん」という節があります。内容は、谷川俊太郎編『中勘助詩集』解説(岩波文庫/1991・11)の内容そのままのようです。

私は、中勘助さんの詩を初めて目にしましたが、「風のごとし」という詩の抜粋を読み、中勘助の詩集を是非読んでみたいという気持ちになっています。

落日を眺めつつ六十年の行路を思ふ
あだかも吹きすぐる一陣の風のごとし
まことに風のごとし
また風のごとし

谷川俊太郎の解説から一部抜粋しますと、
『六十年の行路を風のようだとする感慨はひとつも意外なものではない。むしろ平凡なものだと言ってもいい。だが中さんがそれをうたうと、私たちがともすれば平凡の一語で片づけてしまうものが、実は人間にとっていかに大切かということが腑に落ちる。…』と。

日はまた昇り日は落ちる。3月に梅の花を眺めたその木には実がたんとつき、すでに柿の木や栗の木が小さな実をつけています。季節は一陣の風に乗り循環しています。あっという間に過ぎて行きます。

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