何とも重い空気の年の始まりとなりました。しかし、これも記憶に留めておかなければなりません。
元日のお昼過ぎまでは皆さんものんびり過ごしていたと思います。私は、日本代表のサッカーの試合を見ていましたが、突然、スマホがけたたましい音を立て、テレビの画面も切り替わり緊急地震速報を伝える内容に変わりました。しかも、アナウンサーの声が今まで聞いたことが無い様な差し迫ったものに変わり、これはただ事ではない事を知りました。その後のことは、報道などでみなさんご存知の通りです。
翌日夕刻、画面に凄まじい火柱が…地震の被災地の火事でないことはすぐに分かりました。石油コンビナートで火災が発生していると思いました。しかし、こともあろうか羽田空港の滑走路で二機の飛行機が衝突したという前代未聞の内容でした…
方丈記には、五つの災厄が書かれています。その内の一つは、「元暦の大地震」です。以下に抜粋しますと、
山は崩れて河を埋(うづ)み、海は傾きて陸地をひたせり。土避けて水湧き出で、巌割れて谷にまろび入る。渚漕ぐ船は波にただよひ、道ゆく馬は脚の立どをまどはす。(以下省略)
古典の中でここまで災害を克明に記述した書物は他に例をみないようです。比喩などではなく、写実的に書かれています。そして驚くべ言葉で最後を締めています。それは、
人皆あぢきなき事をのべて、いささか心の濁りもうすらぐと見えしかど、月日重なり、年経にし後は、言葉にかけて言ひ出づる人だになし。
最近の災害や事故でも度々使われる「風化」のことを書き残しています。800年前の事ですが、そこに生きる人々の心のうちは、今と変わらないことが分かります。
無情にも時は1秒1秒を刻み、前へ進みます。人の記憶は風化するのでしょうか。それとも記憶が薄れることで救われる部分もあるのでしょうか。私も沢山の悲しいことを体験してきましたが、決して忘れまいと思いながらも思い出は、セピア色の写真のように色あせていきます。楽しい想い出も然です。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず…です。

Natsuラスト

2023ゆく年くる年

202312まり画伯


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